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心療内科・精神科・一般内科
宮木医院リオムメンタルクリニック
〒536-0022
大阪府大阪市城東区永田4-8-10
TEL:06-6180-4111

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診療方針と「ネガティブケイパビリティ」

 郷里の大阪市で開院するにあたり、「診療方針」というと堅苦しくなってしまいますが、当院の受診を考えられている方の参考のため、当院の診療に対する考え方をご説明したいと思います。

 まず基本的なスタンスとして、医療の立場からその時点で最善と思われる治療や対処法の提案を行いますが、当院の医師の助言が一番正しいというつもりは毛頭ないため、他院の医師の意見も聞いてみたいという方がいらっしゃれば、他院のセカンドオピニオンを聞いてもらったり、転院いただくことは全く問題ありませんし、必要に応じて紹介状も交付します。

 治療の医学的な妥当性だけでなく、メンタルヘルス診療では主治医との「相性」も見過ごせない問題ですので、当院が「合わない」と思われた場合には率直にその旨おっしゃっていただければ、気を悪くすることはありませんし、速やかに他院を紹介します。

 逆に他院で治療を受けておられてそれに対するセカンドオピニオンを聞きたいとか、なにかの事情で転院したいという場合も、できるだけ対応したいと思っています。

 ただし当院ではどのような方でも差別的な扱いをしないとともに、他の患者さんたちとの公平性に問題が出るような特別扱いもできないため、他の患者さんたちやスタッフ等に好ましくない影響がでると予想される場合(働く方のサポートや職場復帰、再発予防が当院の専門分野であり、そうした診療時間が十分取れなくなりうる場合)は、当院ではなく他院をお勧めすることがあります。(初診からこういう診断書が欲しい、この薬を出して欲しいというケースは当院には合わないと判断されご期待に沿えないことが多い傾向にあります。今かかっている医者が話を十分聞いてくれないという場合も、当院は診療と連携したカウンセリング制度はあるものの、当院だけ診療時間が特別長いわけではなく、転院をお勧めしないことも多いことにご留意ください)


 当院は大阪市の福祉のまちづくり条例やハートビル法に準拠したバリアフリーの建築となっていますが、身体障害だけでなく各種障害の有無にかかわらず、それぞれの人が持っている力を最大限発揮できるようになっていただくことを目標の一つにしています。

 単に精神的な病気を治療して病気でない状態になることだけが精神的健康(メンタルヘルス)ではありません。世界保健機関WHOの定義によると、メンタルヘルスMental Healthとは単に精神疾患でない状態を意味するのではなく、各自が自分の能力を発揮でき、日常のストレスに対処でき、生産性が高い状態で働けて、コミュニティに貢献できる良い状態を意味します。ご挨拶のページにも書きましたが、学校や職場での不適応やうつ、睡眠障害(不眠症)、発達障害、依存症などの問題を薬物療法だけに頼らず「社会的処方」を意識し、良い状態で生活や仕事ができるお手伝いができればと思っています。当事者ご本人の受診はもちろん、当事者を支えるキーパーソンとしてのご家族のメンタルヘルス維持は重要ですので、ご家族だけの受診やカウンセリングもお受けしますので、遠慮なくご相談ください。

院長著書「発達障害を職場でささえる」と、非営利活動を院長とご一緒している同僚の岩隈美穂先生(京都大学准教授)分担執筆の「知のバリアフリー」(京都大学学術出版会)

 企業の産業医や校医として多くの方の職場復帰・再発防止をお手伝いしてきた経験から、職場や学校のメンタルヘルス問題の少なくないケースで、一時的に薬で症状を軽減するだけでは根本的な解決にならないことがわかっています。

 当院では各種健康保険の使える公的な保険医療機関としての診療を行うだけでなく、非薬物療法として認知行動療法を基盤とした公認心理士によるカウンセリングや集団療法を行ったり、公的なリワーク施設(大阪だと地下鉄中央線の堺筋本町に大阪障害者職業センターがあり、自己負担なく職場復帰支援を受けられます)を紹介したり、就労支援をしている各種団体と協力しあってなるべく根本的な解決を目指していきます。

 発達障害や依存症などの治療では、当事者の集まりや当事者の親御さんの集まりなどを紹介し、同じ「生きづらさ」や悩みを持つ方が少なくないこと、それを様々な工夫で乗り越えたりなんとかうまく付き合っている方がいることなどを知ってもらうことも役に立つことがありますので、必要に応じて活用いただいています。

 また現代社会でなおざりにされがちな、地域社会との繋がりを持つことが身体的な健康やメンタルヘルスに良い影響を持つことが学術的にもわかってきており、当院では活動をご一緒してきた大阪地域職業訓練センター(A’ワーク創造館、JR大阪環状線の芦原橋にあります)と連携して「社会的処方」の取り組みを進めていきたいと考えています。

(社会的処方に関する説明はこちら

宮木院長と大阪地域職業訓練センター(A’ワーク創造館)の皆様

 最後にもうひとつだけ、当院のキーワードとなる言葉を紹介させてください。フランスで大学教授をしている旧友(École polytechniqueの郡山幸雄先生)から教わった言葉で印象深く、日々の診療や日常生活にも影響を及ぼしているNegative capability(ネガティブ・ケイパビリティ)という概念があります。19世紀初頭の英国の詩人キーツJohn Keatsが発見した概念で、1817年12月21日の弟たちへ宛てた手紙の中にこの言葉が出てきます。

 キーツが敬愛するシェイクスピアに見られる特徴的な美徳として、「性急に事実や答えを求めることなく、不確かさや不可解なこと、懐疑の中にとどまり続ける能力がある」(Keats J. The Complete Poetical Works and Letters of John Keats, Cambridge Edition. Boston, MA: Houghton Mifflin Co; 1899: 277より宮木訳)として、このネガティブ・ケイパビリティという言葉を使いました。

 決まった日本語訳はなく、「消極的能力」「消極的受容力」「答えの出ない事態に耐える力」など様々に訳されていますが、VUCA world(近年国際会議でもよく用いられるVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた略語で、予測困難な世界を意味)ともいわれる混沌とした現代に生きる私たちにとっても示唆に富んだ言葉だと思うのでご紹介したいと思います。

 数は少ないですが医学論文でもこの言葉を取り上げた論文がいくつかありますし、精神科医で作家の帚木蓬生さんが日本語の本を書かれていますが、人生や社会にはどうにもならないことがたくさんある中で、結論を棚上げする創造的な能力(❕)を発揮してどうにも決められない曖昧な状況を受け入れ、踏ん張り続ける(‼)ことが、新しい可能性に心を開き続けることになるという人生の真理を言い得て妙です。

 このいわば「消極的」な能力が他者の気持ちをおもんばかり、他者の考えを想像する「共感」の基盤になっていて、精神療法のベースになるというビオン(キーツの言葉を再発見した20世紀前半の精神科医)の気付きもその通りだと感じます。

京都大学医学部講師時代の宮木院長と故 日野原重明先生(聖路加国際病院名誉院長)

 医学教育の基礎を築いたといわれる19世紀のカナダ人医師ウィリアム・オスラーWilliam Osler(指定難病の遺伝性出血性末梢血管拡張症Hereditary hemorrhagic telangiectasiaはオスラー病Osler diseaseとも呼ばれますし、心内膜炎の患者さんによくみられる指頭部の有痛性紅斑はオスラー結節Oslerʼs nodeと呼ばれ、現代医学でもその名が残っています)は、かつて医学生に向けた講演で「人生の真の詩的感興を認識する力以上に、あなたを退屈な日常の中で強力に支えてくれるものはない」と述べています。

 ここで述べられている「人生の真の詩的感興を認識する力」はネガティブ・ケイパビリティの機能の一つといえ、こうした能力を高めることが患者さんのみならず、医師自身の幸福やいきいきと働くこと(燃え尽きBurn Outの対極にあるワークエンゲージメントWork Engagementの状態)に繋がるのではないかと感じています。

 長くなりましたが、人生や社会にはどうにもならないことがたくさんある中で、結論を棚上げしてどうにも決められない曖昧な状況を受け入れ「踏ん張り続ける」ことで、将来の様々な可能性が開けてくるという人生の経験則(ネガティブ・ケイパビリティの概念)をもとに、当院のスタッフ一同が医療者としてその踏ん張りに寄り添い、サポートしていければと思っていますので、至らぬ点も多々あるかと思いますがよろしくお願いいたします。

宮木幸一 拝

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医院名
宮木医院リオムメンタルクリニック
院長
宮木 幸一
住所
〒536-0022
大阪府大阪市城東区永田4-8-10

診療科目
心療内科・精神科・一般内科
電話番号
TEL:06-6180-4111